日本が目指す新しい産業のあり方を問う
Connected Industries講演会を実施
2018年12月10日、茶屋町にあるUMEDAI会議室はものづくりに携わる、企業の経営者やビジネスマンの熱気に包まれていました。
その目的はロボット革命イニシアティブ協議会が行う講演会「Connected Industries」。
テーマは「モノとモノ」「人と機械」「人と技術」「企業と企業」「人と人」「生産者と消費者」など様々なつながりによって新たな付加価値を生み出していく新しい産業社会です。
サイバー空間と物理的空間とが調和した「超スマート社会」を目指して活発な意見が交わされました。
経済産業省/近畿経済産業局主導のConnected Industries推進
基調講演を行ったのは近畿経済局 地域経済部 次世代産業・情報政策課長の森田剛志氏。
ここで訴えたのは、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合された「超スマート社会 Society 5.0」を実現するために日本が取り組むべき課題は何かということ。
そのなかでも生産の最適化や事故や故障、環境負荷の低減といったものづくりのロボティクスやIoTに焦点があてられました。後述の商工会議所による「スマートものづくり応援隊」やサイバーセキュリティに関する対策までを網羅した包括的な提言となっていました。
ロボット革命イニシアティブ協議会の取り組みとは
ロボット革命イニシアティブ協議会の水上潔さんが次の登壇者です。
ここでは日本とドイツを結んだロボティックスの国際標準化や産業セキュリティから、中堅・中小企業向けの支援活動とより、具体的なテーマで展開されました。
水上氏が強調したのは、企業同士の連携がキーになること。ひとつひとつの企業だけでは発想も限定されがち。しかし、「超スマート社会Society 5.0」が目指すのはすべてが有機的に繋がるとともに、それを作り出すものづくり企業もネットワーク化された社会なのです。
大阪商工会議所が始めた「スマートものづくり応援隊」
次に登壇したのは大阪商工会議所の吉村保範氏。
経済産業部の産業・技術進行担当としてものづくりを最前線でサポートするひとりです。
吉村氏がリポートしたのは「スマートものづくり応援隊」について。実例をもとに、どんなステップを踏んで製造プロセスや製品のスマート化プロジェクトが進んでいくのかを具体的に解説して頂きました。
ほかにもスマート化に向けた指導者育成スクールのプログラムまでと充実した講演でした。引き続き行われたのは2つの企業で行われたスマート化への取り組みのリポートです。
機械式計器と破砕機のメンテナンスコスト低減に向けたIoT化
株式会社木幡計器製作所の木幡氏と破砕機メーカーの近畿工業株式会社の上野氏がメーカーとしてのスマート化の取り組みを発表。
老舗圧力計メーカーの木幡計器製作所では100年以上基本構造が変わらない機械式圧力計にIoT機器をハイブリッドで取り付けることで製造業から医療分野へと事業領域を広げた意欲的な事例をリポート。
近畿工業株式会社ではメイン商材である破砕機の各部品の耐用期間を緻密に管理。
オーバーホールやメンテナンスを計画的に行うウェブシステムを発表しました。
各事例とも現存技術とIoTの融合により、事業領域の拡大や既存顧客との接点強化に繋がっているようです。
活発な質疑応答が交わされたパネルディスカッション
講演会の最後を彩るのは発表者によるパネルディスカッション。講演を聴くなか出席者から発された質問を取り上げるカタチでモデレーターの水上氏が進行していきます。
質問が集中したのがスマート化の費用対効果をどのように評価していくかというテーマ。ビジネスマンならではのリアルな関心が表れた懸案事項です。さらにテーマとして上がったのは中小企業がどう連携させてスマート化を果たしていくかという命題です。このように様々な視点からの課題を共有することができた講演会となりました。この講演会は名古屋や広島と各地で引き続き行われていきます。