研修会レポート
「人手不足下における関西中小企業の人材確保の実態」(経済産業省 細川洋一様)
平成30年3月2日、近畿経済産業局中小企業政策調査課長 細川洋一様による、一般社団法人 未来教育推進機構の幹部及び、職員に向けての勉強会を実施しました。
1. 『人手不足下における関西中小企業の人材確保の実態』について
近畿経済産業局では、中小企業1000社訪問プロジェクトをスタートした。今一度外へ出て経営者の声を聞こうという動きを全国に先駆けて実施した。
関西の中小企業の人材確保がどうなっているのかアンケートをとると、『人手不足』という声がよく出てくるが実態はどうなのかを調査し、レポートにまとめた。レポートはターゲットごとにわけて作成している。
1. 総括
全体の構造についてみると、日本の人口は減少する。関西は340万人の減少、特に生産人口が減少していく。全国にくらべ10ポイント減る。高齢者人口は全国並み。構造の課題としては、滋賀県は減り方が緩いが、それ以外の関西圏では軒並みかなり減っている。特に和歌山県はずっと減少傾向にある。
業種ごとの変化については、保安・サービス等が減っているように思われる。中小企業の従業者数の増減は、全国的には増えているが関西の増え方が小さい。そのうち小規模事業者は全国的に減っている。その中でも大阪の減り方が高い。小規模事業者から中小企業へ人材が流れているのではないかと思われる。
2. ターゲットごとの実態
(1)高卒採用の問題点
窓口がないと感じる経営者の声があがっている。高校に求人票は出すが、企業は待ちの状態。また、高校生も仕事の将来像より生活の将来像が優先、地元志向、家から通える範囲で探しているという声も聞く。高校生の就職活動としてのルールとして、基本的には学校経由で1社ずつ応募する。企業はハローワークで確認印を押してもらって高校に求人票を持っていく。そのため企業はハローワークとのコミュニケーションが求められている。
(2)大学と高専卒の採用
中小企業では、最初から採用についてあきらめ感が強い。関西の大学を出て3割が首都圏に行っていることも背景に持っておかないといけない。
(3)第2新卒と既卒
人材紹介会社の動きについても認識しておくべき。人材紹介会社は成功報酬型で、大阪の経営者からは金額が高いとの声がある。だからハローワークを頼るがあくまでも待ちの姿勢でいる。一方大学生はやりがいや、知っているという理由で会社に入ったが、ギャップがあって辞めてしまったという人も多い。元大手に入った人はギャップがあり中小企業へのニーズはある。
(4)女性について
女性の雇用者数が増えているが、地域により特徴はあるが、関西全体は増加率は低い。経営者の中には、女性に気を使いすぎて、責任・体力的・精神的にきついことは女性にさせたらかわいそうなのかなといという声もある。しかし、そういった会社ほど、若い男性がほしい。職場も女性が働きづらそうな印象を受けた。また、共働きの家事の負担は関西の男性は低い。東京では高く、育児の負担も高い。内閣府のアンケートでは、夫は外で働き、妻は家を守る。という考えに関西が1番賛成している実態もある。
(5)シニア人材について
シニア人材はこれから大事になっていく。シニアは扱いづらい。賃金が高い。永く働いてもらえない。大手からきてもらうとミスマッチがおこるのでは、という声もあったが、何度も採用までにコミュニケーションを取って採用・定着に成功している企業もある。
3. 人材確保について
人材の発掘・確保・定着を一貫してやらないといけない。経営者自らがしないといけないのが大変ではあるが、人が最優先課題という時代になっている。人材確保に成功している企業の特徴として、ハローワーク以外にも手段をいろいろ活用している。定着については、採用時にコミュニケーションをとり、情報を伝える必要があることと、従業員のモチベーションをあげる努力をしていく必要がある。